こんにちは。
主に「ウェブマーケティング」や「テクノロジーと未来社会」に関する研修講師やコンサルティング業を生業としている株式会社イーグッドの榎本晋作と申します。
最近話題のDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する研修案件やご相談をいくつかいただくのですが、
「わりかし、多くの会社(特にDX担当者)が同じこと悩んでるのでは?」
とか思ったので、そこで気づいたことなどシェアして残しておきたいと思います。
(ネット上なので言える範囲は限られるので、わりかし現場感はある話だと思います。多分。)
*いつものごとく、半分はログ用なので、箇条書きですいません。
■最近の営業部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)研修の雑感
DXは、営業部門に限らず、会社全般で取り組んでいくのが大事なのですが、たいていの場合は、1事業部から横展開ということが多いので、今回「営業部」に話を絞りらせてください。
*わりかし、営業部の他だと、コールセンター部門関係からスタートするような事が多いような印象を受けます。
■よくある現場からの要望や相談内容
- <上層部の声>役員・部長「うちの会社乗り遅れたらまずい。」
- <現場の上長の声>課長「うちも今後デジタル化を進めていくのだ!」
- <企画担当者の声>「古い体質の会社なので、みんなよくわかっていなくて、まずは基本的な部分から」
- <現場社員の声>「なんで、これやるんだろうか?」
- 何らかの営業デジタル化のソフトの導入が決まってるパターンとその前時点(デジタル化における基礎知識の伝授)の研修や講義に分けられる。
- 実行フェーズと社内や事業部への啓蒙フェーズでやることはかなり変わる。
これだと見ると、ちょっと詳しいたいていの人なら「目的がないでデジタル化と言ってるのが一番危うい!」とか言いそうなところですよね。
ただ、そもそも大学時代にクラスで1人だけ紙でドイツ語のレポートを提出していたような私からすれば、周りの変化に目をつぶってないだけ、全然マシのような気がしています。
デジタル化の基礎や目的などは学習すればいいだけですので。
そして、自分のような得体の知れない30代半ばの小僧の話に、素直に耳を傾けてくださるのは、本当に奇跡のように思え、頭が上がらないです。
ちなみに、企画部、営業部、情報システム部、経営陣など社内で意見と意思が割れていることも結構見受けられます。
と言いますか、ほとんどがそうなので、その場合は、連続ものよりも、社内啓蒙的な意味合いの単発講座や研修を行った方がわりかし有効な感触があります。
■企画段階の課題について
- <企画>「失敗や苦戦フェーズ」を計算しない研修設計をしてしまうことがある。
- <現場感>簡単に言うと、インプットに成功も失敗もないのですが、アウトプットであるワークでは「アイデアや自分なりの回答が出てこないのが当然」ということが計算されていないパターン。
- <現場感>そもそも、答えのない問いかけに対し、簡単に腑に落ちるアウトプットが最初から出せる方が珍しい。(そういう人は社外でそうとうトレーニングを積んでいる)
- <現場感>オンラインならなおさら、この傾向は強くなる。
- <テクニック>グループワークの前に個人ワークの2〜3回ほど取り、かつ同じワークも数回入れる。
- <現場感>ただし、営業部はわりかし日常業務が忙しいので、「なるべく研修回数をコンパクトにしてほしい」というオーダーがあり。
- <テクニック>わりかし、意識改革になると思うのが、3時間くらいの単発研修で、デジタル化についてコンパクトに1点(後述)に絞って伝える。
まぁ、営業部のDX研修に限らず、こういうのはよくあるパターンかと思います。
学校であれば、復習や予習、中間課題やレポートなど、あらゆる場面で「習得(体得)」を意識した設計ができます。
ですが、企業研修は社員さんの中では「あくまで日常業務優先の中のおまけ」くらいの位置付け(少なくとも意識の中では)だという事を意識しておかないと落とし穴にハマると、ここ数年で強く感じました。
双方向性やキャラクターの担保、場づくり力など、講師やファシリテーターとしての能力は磨ける要素はあるのですが、そのような細かいところよりも、なんだかんだ
「これを受けたい!!!!」
と最初の回で思わせるか、もしくは単発講座を一回、部門を超えて開いてみて、社員さんに意識づけするのが効果としては一番大きいかと思いました。
■研修中によく起こること
- <現場>参加者が増えることがある。
- <現場>欠席者がよく出る。
- <現場>途中退席者がまばらに出たりする。
- <心構え>参加方針をオープン参加にしていることもあるので、出席者・欠席者についてはあまり気にしないでおいた方がよい気がしている。
- <テクニック>最初に、「誰に一番習得してほしいか?」「誰がキーパーソンか?」を企画段階で、担当者と話しておく。
- <心構え>研修目的はまちまちだけど、学校ではないので「会社のソリューションと成長への貢献」を一番に考える。(学校ではないので、平均点の上昇よりも大事なことがある)
- <ワーク中>意見が活発すぎてまとまらない。
- <ワーク中>グループで方針がひっくり返って、アウトプットが出てこない。
- <ワーク中>話さない人が出てくる。
- <ワーク中>しゃべりすぎる人がいる。
- <心構え>「意見が活発でまとまらないのはいいこと」である。
- <心構え>そもそもまとめるのが目的ではなく、営業部門の未来に向かわせるのが目的である。
- <心構え>話を無理にまとめようとすると、実行力に欠けるものばかりできあがってしまう。
- <テクニック>まとまらなかったり足りない部分を補足する日として、あらかじめ「予備日」を設けておく。
- <テクニック>予算が多少取れるなら、ファシリテーターを全部の班にこちらから派遣する。(ただし、外部ファシリテーターよりも内部社員だけでやった方がよいケースもあり。)
- 上記のようなケースはあらかじめ、ネガティブシュミレーションを出し切って、担当者と事前に話して対策しておく。
細かすぎる事象かつ、まぁ、DX系の研修に限らず、デジタルマーケティングやブランディング系の研修でもよくある話だったりしますが、「学校の感覚」で考えないことが大事かと思っています。
各々の業務量や研修に対する姿勢はプロジェクトごとにまちまちですので、「何を外していいか?」そして「何を外してはいけないか?」、これを考えておき、また、企画担当者さんとネガティブシュミレーションを考える回を設けておくのが個人的にはとても感触がよかったです。
■DX系の研修で1ポイント伝えておくと効果がある「3つのデジタル化」
DX(デジタルトランスフォーメーション)とか未来洞察の研修とかやるにあたり、一番みなさんが「なるほど〜。」となるのが、この3つのDについてです。(よく本とかにも書いてあるのですが。)
- デジタル化(アナログやエクセルとかの人力でしてたデータ管理をデジタルに)
- デジタライゼーション(アナログのプロセスをデジタルに)
- デジタルトランスフォーメーション(デジタルで新しい価値を出す)
例えば、これを営業に例えるのであれば
- デジタル化
→これまで個人のメールやエクセルで管理してた取引先との情報を1つのソフトウェアに入力。
*これが結構大変、データを整理しなきゃいかんので。 - デジタライゼーション
→営業プロセスの管理項目や行動パターンを統一のフォームのデータ入力。今までの仕事のUXが変わる。旧式のシステムと平行して動かす時期とかがわりかし工数が倍増するので、ここは防ぎたい。 - デジタルトランスフォーメーション
→優秀な営業社員の行動パターンや成約プロセスをAIやソフトウェアの機能に機械学習させて、独自のノウハウ構築。全社員浸透および他社へのデータ販売。
このような感じで、理解してもらうと、DX(デジタルトランスフォーメーション)のプロジェクトの際に、社員さんたちにわりかし「意味を見出してもらいやすい」のですが、よくある失敗パターンとして、
- 1のみしか伝えわっていない
- 「なんで、2を目指すの?」
- よくわからずに進むと社員さんのやらせれている感が全開になっちゃう
この辺があるあるです。というかほとんどこういう感じな気がしています。
*ちなみにこれは営業に限らずカスタマーサクセスやコールセンターのところでも同様です。
基礎中の基礎の話ですが、「自分たちにとってどんなメリットがあるか?」をちゃんと腑に落とせれば、進みやすいのだと個人的には感じました。
あと、細かい話ですが、「自分たちのメリット」だと思うかどうかは、わりかし、会社の状況によって変わってくるので、できることなら事前にアンケートを取っておくのがおすすめです。
とまぁ、今回もこういう感じでここまでにしたいと思います。
今後も中途半端なナレッジよりも、こんな感じで現場感をメインでお届けできればと思っております。
*榎本の方でオンライン含む講義・講演・ワークショップ等も開催しておりますので、詳しくはサービスページをご覧いただけましたら幸いです。
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